MALICE MIZER / "ma chrie 〜愛しい君へ〜"


空があまりに曇っているものだから、せめて気持ちだけは晴れさせようと思い選んだ一曲。

御存知の方も多いと思われるけれど、現在ソロアーティストとして活動しているGackt氏が在籍していた事で有名なバンド。

MALICE MIZERと聴くと宝塚のように耽美で、ビジュアル系と呼ばれる枠内にカテゴライズされるせいかGacktが在籍していたと聞いても敬遠されがちなのだけど…。

儚さと狂気を感じさせる歌詞やメロディーにより完成された世界観は正直、現在のGacktの音楽とは比較にならない程に美しいもの。

MLICE MIZERについてはまたの機会に語るとして、この一曲はマネキンが人間に叶わない恋をするという哀しい恋の詩…けれど哀しいだけの詩ではなく。

それでいて曲調はフレンチポップとも言うべき軽快に跳ねるようなリズムで、哀しさなどは微塵も伝わってこない。

そうしたアンビバレントな世界を違和感なく表現しているMALICE MIERの…というよりもGacktの非凡なる才能が存分に発揮されている一曲。

今日もこの曲を聴きながら僕はこう口ずさむ。

『雨上がりの朝は水たまりで跳ねて 星降る夜を待ち願いをかけよう ma cherie...』


…そんな気分に浸りながらGacktの新譜『DIABOLOS』に耳を傾けてみたけれど、芸術の域にまで達していた詩世界は最早見る影もなく、音楽性においても様々なジャンルの曲を並べているに過ぎないものとなっていました。

『自分の思い描く世界を追求したいんだ』、そう言って名曲『Mizerable』を産み出したあの人は何処へ行ってしまったんだろうか…ある意味は世界観を感じることは出来るけどね。

そうした理由で僕にとってMALICE MIZERは本当に大切な存在だけれど、曲を聴くたびに切なくなる自分が居る。